なぜ不動産の相続は争いが起こりやすいのか?

遺産の中に土地や建物といった不動産が含まれていると、相続人同士のトラブルが起こりやすくなります。
なぜ不動産はトラブルの原因になりやすいのでしょうか。起こりやすいトラブルの種類について予め知っておきましょう。

不動産は分けにくい財産

不動産は非常に分けにくい財産です。現金のように法定相続分に従って分ける、という手段を取ることができません。誰か1人が相続するとなると、当然不平等が生じます。
売却してお金に換えてしまうという方法もありますが、そうすると当然不動産を手元から離さなければならなくなります。思い入れが強いので残しておきたい、あるいはそのまま住み続けたいと考えている相続人からすれば、売却は一番避けたい分割方法です。また、売却すると余計に費用や税金がかかるので、それによって財産が減ることを嫌がる相続人も出てきます。
分けにくい財産だからこそ、相続人それぞれの思惑が反発しあい、トラブルが起こりやすくなるのです。

ありがちな実家に住む兄と弟のバトル

実家で親と同居していた兄弟がいる場合も、トラブルが起こりやすくなります。
実家に住んでいた側としては、当然このまま家に住み続けたいと主張するでしょう。売却するとなると新たに住居を探さねばなりませんし、親の面倒を見ていたのだから、それが当然の権利だと言います。
対して別居していた側としては、親がいなくなった実家であれば売却してお金に換えたいところです。親の面倒を見ていたとは言っても、その分住宅ローンや家賃を負担する必要はなかったのだから、むしろこちらが多くもらいたいと主張することもあります。
どちらが正しいということもないため、トラブルが長引いて兄弟の関係性自体が冷え込むことも珍しくありません。

争いによるさまざまなデメリット

相続争いが起こると、具体的にどのようなデメリットが生じるのでしょうか。
まず遺産分割が長引くというデメリットがあります。遺産をどのように分配するかは、相続人全員が同意しなければ決まりません。思惑がぶつかってトラブルになると分割協議がどんどん長引き、年単位で話し合いを続ける必要に迫られることもあります。
遺産分割が長引くと、相続税の控除が受けられなくなる可能性も出てきます。相続税の支払い期限は相続開始後10カ月、それが無理なら3年以内となっていますが、それを超えてしまうとなると控除が受けられなくなる可能性が高くなるのです。
更に、不動産をいつまで経っても活用できないデメリットもあります。使っていなくても、不動産は固定資産税がかかります。放置していればお金が出ていくだけのものになってしまうのです。

こじれたら専門家に相談しよう

相続争いは一度こじれてしまうと、当事者だけで解決することは非常に困難になります。困った時は弁護士などの専門家に相談し助言を受けるようにしましょう。
不動産の価値を把握したり、法律について正しい知識を教えてもらうだけでも、話し合いは進むはずです。