不動産を相続するなら知っておこう!遺産分割協議書の基礎知識

相続人が複数いる場合、現金の相続とは違い不動産を相続する際にトラブルが発生する可能性があります。現金のように明確に分割できない不動産を相続する際、遺産分割協議書が必要です。ここでは遺産分割協議書とはどのような書類なのか、なぜ必要なのかご説明します。

遺産分割協議書ってどんな書類?

遺産分割協議書とは、全ての相続人が遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類のことです。遺産分割協議で決定して遺産分割協議書に記載された内容は、基本的には変更できません。後になって他の相続人が「やっぱりこの内容は納得できない」と言ってきた場合でも、遺産分割協議書があればトラブルを回避することができます。そして重要なのが、遺産分割協議書を作成しないと、相続した不動産や預貯金、金融資産、自動車などの名義変更手続きが行えないのです。不動産は相続したけれど名義変更ができなければ、様々な場面でデメリットになることがあります。

なぜ必要なの?

遺産分割協議書を作成しなければ不動産の名義変更ができないことは述べましたが、なぜそれが問題になるのでしょうか。まず、不動産の売買は、不動産の名義人である売主と買主との売買契約になります。例えば相続した不動産の名義が亡くなった親のままだと、不動産を売却することはできません。そのため相続した不動産の名義を変更する「相続登記」を行い、自分名義に変更しなければなりません。このように亡くなった親名義の不動産を売却するためには、相続登記が必要で、相続登記手続きを行うためには遺産分割協議書の作成が必要なのです。

遺産分割協議書に記載する項目は?

それでは遺産分割協議書にはどのようなことを記載するのでしょうか。遺産分割協議書には亡くなった人の所有する財産全てを記載する必要があります。そして、亡くなった方が実は再婚ではなかったか、養子縁組などで他に子どもはいないか、という事実を確認するため戸籍謄本が必要になります。相続人が知らないだけで、戸籍謄本を取得して初めて判明する事実があるかもしれないからです。さらに、亡くなった方と法定相続人の関係を証明するため、法定相続人の戸籍謄本も必要になります。他にも、登記簿や亡くなった方の預金通帳、印鑑登録証明書などが必要です。

遺産分割協議書ができたら名義変更手続きを進めよう

遺産分割協議書ができたら、早速名義変更手続きに取り掛かりましょう。特に不動産の場合、自分名義に変更しておかなければ自由に売却することができません。不動産を現金化できれば、相続税の支払いや他の相続人との分割が明確になるなど、様々な点で便利です。逆に不動産を売却できないで放置していると、固定資産税がかかるなどのデメリットがあるので注意が必要です。