
老後の生活を送るための収入源として欠かせないのが年金ですが、不動産売却をしてしまうと減額される可能性があります。どのようなケースで年金が減ってしまうことがあるのかというポイントを知っておくことが重要です。
不動産を売却しても年金は減らないのが原則
不動産売却を行うと年金減額が起こるという説があるのは譲渡所得が生じるからです。所得があることによって扶養から外れるなどの家計に支障をきたすことがしばしばあります。しかし、年金については厚生年金でも国民年金でも減ることはありません。年金はそれまでに納めてきた総額や期間に応じて所得によらずに支給されるものだからです。また、年金の支給が始まる60歳以降も働いている場合には在職老齢年金を受け取る場合もありますが、これについても譲渡所得があっても問題はありません。給与や賞与や高い場合には一部または全額が停止されることがあるものの、一時的な所得については減額や支給停止の理由として定められていないからです。
不動産売却で年金が減額されるケースは
年金が減額されてしまうことは原則としてないものの、例外的なものが一つだけあります。障害年金の受給者の場合には年金が減額されるケースが稀にあるのです。疾病や怪我などよって一定の障害を負ってしまった人に対して支給される年金ですが、障害基礎年金については所得が多い場合には減額または停止があるとされています。20歳以前に初診を受けて障害基礎年金を受け取っている人に限られるものの、不動産を売却したことによって大きな譲渡所得を手に入れてしまうと障害年金が手に入らなくなるリスクがあると覚えておくことが必要です。
年金受給者でも税金はかかるので注意を
年金についての誤解が解けると、不動産売却をしても資産的に大きな損失が生じることはないと別の誤解をする人もいます。不動産を売却したときに譲渡所得が生じた場合には所得税と住民税を納める必要がありますが、この点は年金受給者でも扱いに変わりはありません。不動産売却で得られた金額から取得費と譲渡費用を引き、特別控除をさらに差し引いてもまだプラスになっている場合には所得税と住民税を計算して納税するのが義務です。税率についても年金受給者だから軽減されるというわけではなく、不動産の所有年数に応じて短期譲渡所得か長期譲渡所得が課せられます。
売却するなら信頼できる不動産会社を選ぼう
年金受給者になってから不動産売却をしても年金については原則としてありません。売却をするときには、譲渡による税金などの扱いについても詳しくて信頼できる不動産会社を選んで仲介をしてもらうと安心して売ることができます。