管理費を滞納しているマンション相続の注意点

相続は基本的に全ての財産を引き継ぐことになります。マンションの相続は一戸建ての家に比べると管理費の支払など、相続後の管理が必要です。相続する財産がどのような内容なのかをよく確認して、どうするかを決めるようにしましょう。

マンションの管理費と修繕積立金の違い

マンションの管理費とは、居住者が快適に生活するために支払う費用のことです。管理会社が行う管理に必要な委託費やエレベーターなどの点検費用、共用部分の電気代や清掃代、その他植木の剪定など、日常的に支払いが必要になるものが対象です。マンション全体の管理費用ですから普通は居住者全員が同一の金額を支払います。修繕積立金はマンションの経年により将来必要になる工事に備え費用を積み立てておき、水道などの配管や貯水タンクの取り替え、外壁の修理など大規模な修繕を実施するときに使うための費用のことを言います。こちらも居住者全員が支払いますが、金額は所有している部屋の広さによって変わります。

借金やローンなどマイナスの財産も相続財産

相続と言うと、現金や不動産、株などを想像しやすいですがそれだけではありません。借金やローンなどマイナスの財産もあります。基本的に財産を相続するとプラスの財産もマイナスの財産もすべてを相続することになります。プラスの財産だけを相続することはできませんから注意して下さい。借金やローンの金額が大きいと財産を全て処分しても返済出来ない可能性があります。どのような財産がどれだけあるのかをしっかりと把握してどうするかを決めることが大切です。相続放棄するのであれば、その事実を知った日から3か月以内に手続きが必要になります。過ぎてしまうと相続を承諾したことになり放棄出来なくなりますから、必ず期限までに手続きできるようにしましょう。

内縁の妻は同居していても相続できない

内縁の妻とは一緒に生活しているなど、事実上婚姻関係にあるものの、婚姻届が提出されていない関係のことを言います。民法では内縁の妻について、夫婦と同等の権利を認めているものと、認めていないものがあり、相続権は認められていません。ですから内縁の妻が財産を相続することは基本的には出来ません。ただし、特別に相続を受けられる可能性があります。その方法は、内縁の妻が特別縁故者になること、もしくは遺言書で相続を認めてもらうことです。特別縁故者とは、亡くなった人に法廷相続人が一人も居ない場合、もしくは法廷相続人が全員相続放棄した場合に、家庭裁判所に申し立てをして認められると普通に相続ができるようになります。

相続放棄は管理組合に迷惑をかけることに

管理費が滞納されたまま所有者が亡くなると、次の所有者が決まるまで管理費が支払われません。また、相続放棄されてしまうとマンションの管理組合が裁判所へ相続財産管理人の選定審判を申し立てる必要があります。弁護士等が管理人に選定されて清算を行いますが、財産が少ないと管理人への報酬を申し立て人が支払うことになります。高額な財産でないと手続きが面倒だと放棄されがちですが、その分マンションの管理組合へ負担を押し付けることになるので注意が必要です。