
実家の家屋と土地を最終的には名義変更しておきたいというときには方法が二通りあります。生前贈与をしてまだ存命のうちに名義変更を終える方法と、亡くなったときに相続する方法ですが、どちらを選んだら良いのでしょうか。
生前贈与には贈与税と不動産取得税が
生前贈与によって実家の家屋や土地を名義変更するときには税金が高くなりがちです。贈与税と不動産取得税が大きな金額になりやすい税金として知られています。贈与税は名義変更する不動産の価格に応じてかかる税金であり、110万円の基礎控除が年間で認められています。贈与税は税率が高くて、価格が上がると半分以上が税金になってしまうのが一般的です。一方、不動産取得税については軽減税率が認められているため固定資産税評価額の1.5%になります。原則は3%になるので軽減税率が認められなくなったときにはさらに高くなることは留意しておかなければなりません。
相続には相続税が
相続によって家屋や土地の名義変更をするときにかかる税金は相続税です。この場合には、相続対象となる全ての財産について評価額を求めて控除を行い、その全額に対して税率をかけて税額を求めることになります。税率は贈与税に比べると低めですが、他に価値の高い相続資産が多数あると半分以上の税金がかかることもあるので注意が必要です。また、基礎控除が大きくて法定相続人一人あたり600万円に加えて3000万円が認められています。それに加えて土地の相続税評価額は、建物があると小規模宅地等の特例を適用して減らせるので比較的税額が少なくて済むのが一般的です。
税金面から考えると相続がリーズナブル
相続税については贈与税に比べると税率が低めで控除額も大きく、資産としての評価額も下げやすいことから税金面を考えると生前贈与よりも相続を選んだ方がリーズナブルです。現金資産の場合には贈与税の基礎控除に収まる範囲内で毎年渡していくと節税になりますが、単独で高額な資産になる家屋や土地の場合にはそのような節約は簡単ではありません。他にも相続資産が多くて相続税が高くなると想定される場合はこの限りではないものの、基本的には生前贈与をするよりも相続を選んでおいた方が子孫に残せる資産額を大きくすることができます。
相続人が複数いると後々もめることも
実家を相続によって名義変更すると決めたときに、遺産分割で問題になりがちなのが誰が相続をするかです。相続人が多い場合には特にもめ事になってしまいやすいので、まだ元気でいるうちに家族会議をして遺言書を残しておくなどの対策をするのが重要になります。