土地や建物などの不動産は現金と異なり分割しにくいので、相続時にトラブルが生まれやすい傾向にあります。特にトラブルが生まれやすいのが共有名義の土地の不動産相続です。そこで今回は共有名義の問題点や共有状態の解消法などについてご紹介します。
共有名義とは
共有名義とは土地や建物などの不動産を、複数人で所有している状態です。共有を行うと不動産の共有者一人ひとりに持分割合が発生します。例えば父親の土地を相続した相続人3人が土地を共有する場合、相続人一人ひとりに3分の1ずつの持分割合が生まれます。ただし、この持ち分割合は等分に分ける必要はなく長男50%、次男30%、三男20%という不均衡な形でも問題ありません。
注意したいのは不動産の共有者は、土地や建物全体を使用できるという点です。持分割合が20%の共有者と50%の共有者で、不動産を使用できる範囲に差はありません。ただし賃料収入がある場合や、共有物を売却した際に売却益が出た場合などは持分割合で受取額が変わってきます。
共有名義の問題点
共有名義には不動産相続時に平等な遺産分割ができる、勝手な売却や担保に出されるのを防げるなどのメリットもあります。一方で共有名義には、権利関係が複雑化しやすいという問題点があるのです。
例えば、親の土地を相続人である子Aと子Bで共有したとします。その後、共有者Aが亡くなると共有名義の権利は配偶者やAの子どもたちに引き継がれ、持分割合も細分化されます。このように次の世代へ権利が引き継がれるにつれて共有者が増えるため、持分割合が細分化され権利関係が複雑化するのです。
また共有名義の不動産を売るためには、共有者全員の賛成が必要となります。共有者全員から賛同を得るのは難しいため、いつまでも共有状態が続き権利関係が複雑化しやすいのです。
共有状態を解消する方法も
土地の権利関係が複雑化しやすい共有名義、そんな共有状態を解消する方法が幾つか存在します。
1つめは共有者の1人が、他の共有者の持ち分を買い取る方法です。例えば3000万円の評価額の土地をAとBの二人が2分の1ずつ共有していたとすると、どちらかが1500万円で持ち分を買い取れば土地の単独所有者となれます。
2つめは土地を分割する方法です。持分割合に応じて土地を分割することで分割した土地の単独所有者になります。単独所有者となれば売却することも、建物を建てることも所有者1人の意思で行えます。ただし土地をどう分割するか、誰がどこを取得するのかで揉めるケースも少なくありません。
売却して現金を分ける方法も
共有名義にはメリットも存在しますが、不動産相続絡みではトラブルの火種になりやすいです。相続絡みのトラブルを避ける為に持ち分の買取り、土地の分割などの共有状態を解消する方法が存在します。
上述の方法以外にも土地を売却して現金で分ける方法もあります。一般的に共有名義の土地の売却は難しいですが、共有者の間で考えが一致しているなら困難ではありません。売却して現金を分ける方法は共有状態を解消する方法として理想的な方法の1つなので、一度他の共有者と話し合う価値はあるでしょう。