不動産を相続したときの手続きの流れ

突然の配偶者や親の死。そのとき自分が相続人であれば、悲しみに暮れている暇はありません。不動産などの財産があれば、手続きを進めていかなければならないからです。あれもこれもと心の整理ができないときに考えるのではなく、今のうちにきちんと知っておくことが相続の手続きでは重要です。

遺言書がある場合

亡くなられた方が遺言書を書き残していたら、相続の手続きの流れはこの遺言書通りに進められます。ただし、この遺言書の取り扱いには注意が必要です。遺言書を勝手に開封すると処罰されることがあるからです。相続人は遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」の請求をします。そして、家庭裁判所で相続人等立ち合いのもとに、遺言書を開封します。また、この検認の請求をする家庭裁判所は亡くなられた方の亡くなられたときの住所地にある裁判所ですので、こちらも注意が必要です。遠く離れた両親であったり、住民票を移転してあった場合などには気を付けてください。

話し合いで相続人を決める

遺言書などがない場合は、話し合いで不動産の所有者を誰にするかを決めることになります。その話し合いを遺産分割協議と言います。相続人である家族の話合いなので、気軽なイメージを持たれるかもしれませんが、お金が絡むことであり、やり直しもできないため、契約に近いイメージで臨んだ方が無難です。話合いがまとまらないようでしたら、弁護士さんや司法書士さんなどの第三者に立ち会ってもらった方が流れがスムーズになるでしょう。また、話し合いがまとまり次第、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の署名、印鑑を押して書面に残しておくことが重要です。そのほか、相続人がお子さんで未成年者の場合は、法定代理人をつけて話し合いをしなければならないことにも注意しておきましょう。

名義変更の登記手続き

不動産の相続人が決まったら、不動産の所有者を変更します。それが不動産の名義変更の登記手続きです。このときの必要書類が遺言書や遺産分割協議書となります。そのほかに必要なものが、亡くなった方と相続人全員の戸籍です。亡くなった方のその時からさかのぼって、幼少の時までの戸籍をすべて揃えます。本籍を何度も移転した方ですと、その本籍地の役所に問い合わせが必要です。手続きの流れが複雑なときは、司法書士さんなどに依頼し必要書類を揃えてもらうことも一つの方法です。また、自分で申請書などが作成できそうであれば、法務局に無料で相談することも可能です。

もし話し合いでもめたら

相続は金銭的な問題でもあります。特に不動産は価値も高額で、手続きや流れも複雑な場合が多いので、法律に詳しい方に相談しながら進めていくことが望ましいです。話し合いは身内の問題と思わず、契約として慎重に進めましょう。