
せっかく土地を相続しても、使い道がなく持て余してしまっては、毎年固定資産税がかかるなどかえって損になりかねません。中には、土地の売却を検討する方もいるでしょうが、その際に注意すべきポイントを紹介するので確認してみてください。
再建築条件や土地の境界に問題はないか
土地に建物を建てる際の条件は、建築物に関する法律である建築基準法によって定められています。これは度々改正が行われており、現在の建物は過去の基準に則って建てられたものかもしれません。一旦取り壊して再び新しい建物を建てる場合は、現行基準が適用されるので以前より小規模になったり、建てることさえできなくなる恐れもあります。すると、売却する土地の価値は下がってしまうので、現在の基準におけるその土地の扱いを事前に確かめることが重要です。
また、登記内容と不動産の現状が異なる可能性も考慮する必要があります。特に、土地の地積が違うとその境界も変わるため、そのままでは売却時にトラブルが発生しかねません。測量によって正確な境界や土地の形状を地図にして、登記と相違はないか前もって確認するようにしてください。
抵当権や賃借権が設定されていないか
ローンが残っている土地には、それを借りた金融機関が保証として抵当権という権利を設けており、ローン滞納時には土地が差し押さえられる場合があります。抵当権のある土地の売却は、その買主に差し押さえのリスクを押し付けることにもなるのでうまくいかないことが多いでしょう。そもそも、売却した土地の代金とその他の資産を合わせてもローンが支払えなければ、基本的に売却は不可能です。
また、相続した土地が借地であれば、そこに建物を建てられる権利である賃借権も自身に相続されています。売却の際は、買主にこれが移譲されることになりますが、これには地主の承諾が必要なのに加え、資産価値も下がるなど様々な制約が発生します。
いずれにしても、事前にこれらの権利が設定されていないか確かめることが大切です。
私道の権利はないか
売却する土地が私道に面している場合、その所有権や持ち分があればそこには税金の他、維持管理の費用負担や通行・道路掘削の制限といった所有者間の取り決めが存在します。これを買主に説明せずに売却すると、後々トラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。逆に、私道の持ち分がない場合は、これに関する権利面で不利になってしまうことが多い傾向にあります。特に、私道をその土地の地主が単独で所有していると、利用に際して様々な権利についての許可が必要になることもあり、買主が購入を渋る可能性も考えられます。
私道を含む土地の取引は、自身と買主、他の私道所有者を巻き込んだ面倒な問題や資産価値の下落を招きかねません。これらを防ぐためにも、その取り決めについて事前に確認し買い手に説明する必要があるでしょう。
心配なことがあったらプロに相談
以上のように、相続した土地の売却には様々な権利や手続きが複雑に絡み、多数の注意点が存在します。これに対して、取引の仲介や土地に関する調査を代行してくれる専門業者も存在します。困った時は無理をせず相談してみるのも手段の一つです。