
両親が亡くなって残された実家。相続する人を決めて手続きをしておかないと名義は両親のままです。遺言書があれば相続人はそれにそって決まりますが、ない場合は親族内での話し合いが必要になります。今回は、遺言書がない場合の実家の相続手続きと流れを説明していきます。
相続人を調査しよう
遺言書がない場合の相続は、法律で決められた法定相続人で不動産などの遺産を分割しなければなりません。両親が亡くなって残された実家を相続するならば、まず法定相続人が誰なのかをはっきりさせる必要があります。法定相続人は、財産所有者の配偶者と子供です。子供が亡くなっている場合はその子供の子孫(孫・ひ孫)、子供がいない場合は所有者の親、子供も親もいない場合はその兄弟、兄弟が亡くなっている場合はその子供(甥・姪)が法定相続人となります。
それを調べるためには亡くなった方の戸籍を取得します。出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。その方が本籍地を変更したり、結婚・離婚をしたりしているなら、転籍前の戸籍謄本も取得しなければなりません。そのように戸籍を集めて、配偶者や子供などの法定相続人の有無を確定させます。
遺産分割協議を行う
法定相続人が確定したら、その中で相続の分配を話し合いで決めます。これを遺産分割協議と言います。必ずしも配偶者が2分の1、子供が2分の1というような法定相続でなければならない必要はなく、全員が合意できれば相続する割合に決まりはありません。分割方法として、現物分割とは土地・建物は兄が、現金は弟が相続するといった財産ごとに決める方法です。他にも遺産が実家しかない場合、実家を兄が相続し、そのかわり兄が弟に金銭を支払うといった代償分割や、共同で実家を管理する共有分割などがあります。
相続が決まったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議の内容をまとめて、協議内容に合意したとして法定相続人全員の署名・捺印が必要です。
登記申請手続き
最後に登記申請の手続きをします。これは実家のある地域を管轄する法務局へ行って必要書類を提出し、実家の名義を相続人へ変更する手続きです。必要書類は、上記で取得した被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本、被相続人の住所の市区町村役場で取得する住民票の除票が必要です。相続人関連の書類は、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明です。相続する実家の書類としては、不動産の固定資産評価証明書、不動産の全部事項証明書、相続登記申請書となります。
必要書類がとても多いですが、役所ごとに分ければそれほどでもありません。法定相続人関連の書類は各自で取得してもらえばいいですし、不動産関係書類は管轄の法務局で揃えることができます。
もめるようなら売却も検討しよう
実家の相続手続きは、司法書士などの専門家に依頼する方もいますが、個人でも十分手続き可能です。大変なのは、法定相続人を調べて相続人を決める過程でしょう。遺言書があったり、すんなり決まればいいですが、もし相続人が決まらずもめることになるなら、潔く実家を売却して売却金を分配することも検討しましょう。