売れないマンションは相続放棄できる?

固定資産税や管理費など、売れないマンションを所有し続けるのは大きな経済的負担になります。それなら最初から相続放棄をしてしまおうと考える人も多いですが、だからと言ってすべての義務から逃れることはできません。
マンションの相続放棄について、気を付けたいポイントをまとめました。

相続放棄とは?

相続放棄とは、家庭裁判所に対して届けを出すことで、最初から相続人でなかったことになる制度です。本来は被相続人が残した借金などから相続人の生活を守るための制度で、相続人同士のトラブルに巻き込まれないために利用する人もいます。
一旦所有してしまうと、その所有権は好きに放棄することができません。相続放棄であれば最初から所有していないことになるので、それにまつわる義務を負う必要はなくなります。ただし、相続放棄を行うと、全ての遺産について受け取る権利を失ってしまいます。他にめぼしい遺産があったとしても受け取れなくなるので、安易に選択してしまうのは禁物です。

マンションは相続放棄できる?

マンションも相続放棄をすることができます。一度所持してしまうと放り出すことはできないので、売れそうもないことが最初から分かっていれば、相続放棄という形を取るのも1つの方法と言えるでしょう。この方法であれば、固定資産税を支払う義務はなくなります。
ただし、相続放棄を行えば全ての責任から逃れられる訳ではありません。マンションの場合、自分の次に管理する人が見つかるまでは、その物件を管理維持する責任があるのです。管理費も支払わなければなりませんし、管理を怠った場合、損害賠償責任を問われる可能性もあります。

相続財産管理人の選任申し立ては必要?

マンションの管理責任は、誰か他の管理人が見つかるまで続きます。自分の他の相続人がマンションを引き受けてくれるなら問題はありませんが、それを期待するのは虫が良すぎる話でしょう。
このような場合、相続財産管理人を裁判所に選任してもらうことになります。裁判所に申し立てを行うことで、管理責任を引き継いでもらうのです。申し立ては行わなければなりません。相続人全員が相続放棄を行えば自動的に国が管理してくれる、という訳ではないのです。
ただし、相続財産管理人の選任には、数十万円から数百万円の予納金が必要になります。

管理組合に迷惑をかけることも

相続人全員が相続放棄をしたことで管理組合が管理人の申し立てを行わなければならなくなり、大きな迷惑になったというケースも増えています。
売れないから、と安易にマンションを相続放棄してしまうのはおすすめできません。どちらになっても負担を負うことになるため、目先のことばかりに注目せずトータルで判断することが大切になります。